第9回学術大会テーマ『幸福論』 記念講演 『幸福を求め、我が80年の人生の途上にて』レジュメ2018年9月1日 永松道晴
どこにでもいる平凡な男のひとり、私が歩んで来た78年、幼少時から大学を卒業して就職するまでの22年、社会に出てから今日までの前半28年はサラリーマン、後半28年は独立自営、合計56年、音楽の協奏曲で言えば主題は仕事、家庭生活や趣味などはアドリブか間奏曲、そして現在は第四楽章、終曲に向かうアレグロに差し掛かっています。想定外の時代の変化に流されて悪戦苦闘してきた体験をお話しして、皆様の今後の人生とその幸福につながるヒントとなれば、それこそ私にとって「しあわせ」なことと思います。今日はこれから先の長い若手の皆様を対象にして話を進めて行きます。
手元に配ります『1939-2018内外の時代の推移と私の歩んできた道』に沿って、お話しを進めます。下記の表のように、左端は日本が影響を受けて来た国際的な主な出来事、中央はそれに対する日本国内の出来事、右端にはその時系列に対応した私の仕事についての履歴を年代・年齢・楽章順に記しています。
第一楽章 (起)は京都で生まれて昭和20年の終戦を経て就職するまで期間。敗戦によって価値観が大逆転、これはその80年前に260年続いた徳川幕府体制から明治維新となった革命に匹敵するものでした。それはまた日本の社会と経済体制をリセットして、新しいソフトウエアをインストールして、再稼働させることでした。
第二楽章 (承)はこの新しいソフトウエアによる再稼働で、右肩あがりの高度成長に乗って日本がアメリカに次ぐ経済大国になった期間。私がサラリーマンとして働いて、その内10年を海外で過ごした時期で、これが私にとって最も「幸福」な時期でした。この時期に私が学んだこととして皆様に申し伝えておきたいこと、仕事の関連で3つ、海外との付き合いのことで2つ、をお話しします。
第三楽章 (転)は社会的にも個人的にも大変な時期で、私が会社を辞めて独立自営に転換した期間と重なります。この困難を何とか乗り越えられたのは、私が困っていた時に私に手を差し伸べてくれた人々がいたからです。これが「人の縁」です。これは求めて得られるものではなく、又ノウハウもありません。しかし人が幸福になるための最も重要な鍵です。
第四楽章 (結)は戦後からひとまわりしてフリダシに戻った現在の世界は、インターネットの発達とSNSやツイッターによる過剰な情報の氾濫で、我々は正に「情報」の洪水におぼれて、流れがどの方向に向かっているかもわからない状態にあります。こういう時だからこそ、歴史と宗教と文化、この3つをもう一度勉強して、自分の価値観を検証して確立することが重要です。それが幸福を実現するためのマスターキーです。