第1回 学術大会

日時 2010/9/11(土) 14:00 開会
会場 神戸国際大学
大会のテーマ
「精神文化学会設立の意義」
現在、精神の頽落現象が濃厚なことは言うまでもありません。それは精神性そのものの欠落とともに、様々の現象を精神的に捉えるということが希薄である事実を示しています。文化は何らかの意味で精神的所産として形成されます。思想・内実は形式によって表現されます。形式のない内実も、内実のない形式も無意味です。形式と内実は不可分なものです。そして、この形式こそが私たちの文化です。精神文化学とは、簡潔に言えば、精神を文化の面から捉え直し、新たな活力に満ちた精神性を創出する試みです。
今般、精神文化学会を創設したのは、抽象的概念に終始して机上の空論に堕することを避け、新しい時代の精神文化に関する諸問題を新しい視点から考察し、具体的な現実の諸問題を洞察しつつ、精神性の深化と創造性の向上に寄与したいと考えたからです。
その具体策として、過去の歴史において芸術・思想・文化の特徴的な痕跡を残した先達の歩みを批判的に究明しつつ、単なる回顧から脱却して、そこに新たな精神性を見出していきたいと考えます。現在、哲学はいわゆる哲学に関する知識の集積に埋没し、神学もまた現実に生きる私たちにとって何らのエネルギーも喚起しないまま、いたずらに年月を消費するばかりです。脳科学や宇宙物理学の進展に呼応する活きた精神性を生み出すことは緊急の課題だと言えましょう。思考力を深めるとともに、感性を重視するのが本会の特質です。感性なき知性は不完全であり、知性なき感性は醜悪だと言えましょう。
本会は、創造性・精神性とともに芸術性の深化をも目標とするものです。
プログラム
14:00-14:15 会員総会(研究室 3415)
14:15-15:30 基調講演 川桐信彦「現在の教育に欠けるもの」(共同研究室 3)
15:30-15:45 休憩
15:45-16:30 自由討論
講演者プロフィール
1932 年生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業。商社の取締役外国部長、代表取締役社長を歴任。東大寺乱としても文筆活動を展開。著書に『表現の美学』(紀伊国屋書店)、『脱獄の美学』(表現舎)、『岡本太郎』(沖積舎)、『行動する画家』(沖積舎)、『美学大全』(沖積舎)、『美意識について』(長征社)など。詩集に『砂漠を走る』(沖積舎)、『毎日が祭り』(沖積舎)、『ジュネーヴのハックルベリィフィン』(沖積舎)、『ラビリントス』(沖積舎)など。京都大学より文学博士号を取得(芸術神学)。現在、思想家として著述活動を続ける。日本ペンクラブ会員、日本文芸家協会会員、三田芸術会会員、京都大学基督教学会会員。